体質も変える腸内細菌って何? 重さは1.5Kgにも
健康と腸内細菌は密接な関係が有ることは、最近ようやく知られるようになっていますが、意外と知られていないことも多く、この腸内細菌の素顔について、腸内細菌研究の第一人者である理化学研究所の辨野義己(べんの・よしみ)さんによる解説を見つけましたので、ご紹介します。
▼内容:
■菌の総量は1.5キロ 肝臓並みの重さ
■菌バランスによって“体質”が変化する
詳細は、下記参照ください。
日本経済新聞> ライフ > ヘルス > 日経ヘルス&メディカル > 2014/04/27
■菌の総量は1.5キロ 肝臓並みの重さ
腸内細菌は、腸管壁の粘膜に住んでいる。 その総量は1人分で1.5Kg程にもなる。 この重さは肝臓とほぼ 同じだという。腸内細菌の種類は、全部で 1000種類もいて、多種類の働きをしている可能性が高く、言い換えると腸内細菌は、肝臓に匹敵する体内最大級の“臓器”と考えられるという。
腸内細菌の餌は、腸内を進んでくる消化物で。菌ごとに好みが決まっていて、特定の菌はほぼ特定の成分を食べ、その菌の排泄物は別の菌の餌になる。その排泄物をまた別の菌が食べ、それをまた次……といった具合に、1000種の菌は食べ物の連鎖で繋がっている。
連鎖の過程で発生する成分の一部が腸から吸収され、体の健康に影響を与える。良い影響なら「善玉菌」、悪い影響なら「悪玉菌」と呼ばれるが、“日和見 菌”と呼ばれる菌もいる。 その名の通り大勢に流れる性質なので、善玉菌が優勢のときは大人しいが、悪玉菌が優勢になると悪さを始める。これ が全体の約7割を占める。
3群の構成比は2:1:7位が理想。この状態なら、黄色がかったバナナ状のウンチが出る。
■菌バランスによって“体質”が変化する
この腸内細菌のバランスは、代謝や免疫といった体の機能に大きな影響を与える。 肥満の人は、特定の菌が多く、“太り易い体質”が、腸内細菌に左右されている可能性があるという。
遺伝子によって決まる体質と違い、腸内細菌は食べ物などによってバランスが大きく変化して流動的だ。つまり、体質が変化する点が、他の臓器との違いだ。ヨーグルトや納豆を食べる意味もこういったところにある。
多くの人の腸内細菌を調べデータベース化すれば、菌の種類と病気の関係が判るかもしれない。この腸内細菌を制御して病気を防ぐ方法となる「腸内細菌プロファイル」の構築を目指して研究が続けられている。